Shikiです。
久しぶりにブログを書きます。
今日のテーマは、「店舗の売上アップについて」
私のオンラインコミュニティ「Fleeks」にエントリーされ、集客やマーケティングを学んでいる美容師さんから、「店舗コンサルの依頼」がありました。
技術部門は全く分かりませんが、マーケターとして、その店舗を2023年8月からサポートしているのですが、売上が順調に伸びてきました!
サポートしている身としては、これほど嬉しいことはありません。
さて、その美容室は「髪質改善」に強みがあるお店。
私のフォロワーさんにも、「艶髪訴求」をされている美容師さんやオーナーさんが多いので、それなら「他のお店にも参考になる部分があるはず」と思い、公開できる部分は公開してしまおうということで、記事を書き始めることとしました。
最初に書きますが、この記事で紹介する施策を実践すれば「誰でも伸びる」というものでもありません。
店舗には、それぞれの強みや既存顧客がありますから、「結果が出にくい人」もいれば「もっと伸びる人」も出てくるでしょう。
ただ、1つ言えることは、「難しい施策は行っていない」
ということです。
難解なテクニックではなく、本質を理解しながら、誰でも実践できること。
本質とは、顧客理解のこと。
表面的な施策ではなく、「なぜ、それが必要なのか?」を理解し、実践していけば、かなり高い確率で売上を伸ばせるとわかっていたことから、サポートをすることにしました。
では早速本題ですが、最初は、美容室の現状について紹介します。
どれぐらい伸びたのか。
サポート開始時の店舗の状況
店舗の状況
- 愛知県にある美容室
- オーナーとスタイリスト2名、アシスタント1名
- スタッフさんの売り上げは40万前後
- 地域の人口は、16万人程度
- 近隣にライバル店舗は多数。
こちらの店舗のサポートを2023年8月から開始しました。
では昨年8月から今年3月までの売上推移をグラフで紹介します。
※3月は全体の計算が終わっていないので、途中までの数値。集計が終わると、2023年12月の売上は超える見込み
2023年8月の売上は約230万円。
そこから、サポートを開始し、下記に記載の施策をスタート。9月、10月は全体的に下がりましたが、そこから上昇に転じ、12月は過去最高の売上を更新。
12月はどの美容室も売上を大きく伸ばす特殊月ですが、上昇割合は想定以上でした。
翌月の1月は12月の反転で大きく減少。これも想定内。
そして2月は300万円OVER!!!
この数字は、対前年比160%アップです。
いかがでしょうか。160%アップって中々すごいですよね。
オープン2・3年目の店舗ならわかりますが、営業開始して数年経ったお店ならなおさらです。
そして、3月は、昨年12月に達成した過去最高売上をも超える数字となる見込み。
しかも、売上が伸びた要因が、単に新規集客が増えたからではなく、次の数値も上昇しました。
- 客単価アップ
- リピート率アップ
- 新規集客数アップ
客単価に関しては、11,000円だったものを、16,000円まで引き上げることに成功したので、売上貢献の影響はとても大きい。
当然、最初は失客も増えましたが、年末ごろから売上総額は上昇に転じていきました。
客単価が増えるとどうなるか?
それは、1時間あたりの労働生産性が上がるわけです。つまり、少ない顧客でも売上を伸ばすことができるので、オーナーやスタッフの身体の負担は軽減できます。
少しずつですが、取組が身を結び、結果につながり、本当に良かったなと思っています。
効果的だった7つの施策
店舗コンサルは、毎月のミーティングにより、改善施策をディスカッションして決めていくので、実際はもっと細かく、たくさんあるのですが、全てを紹介するのではなく、部分的に抜粋して紹介します。
訴求を髪質改善に振り切ったこと
元々、髪質改善メニューを推していた美容室でしたが、たくさんあるメニューのうちの1つという位置付けでした。
カットカラーのお客さんが多かったのですが、これから売上を伸ばすなら、
- 1時間あたりの労働生産性を伸ばすこと
- 市場規模とライバル店の訴求を考慮すること
- 悩み訴求に持ち込み、継続来店客を増やすこと
これらの条件が必要であると判断し、既存メニューの中から「髪質改善」を全面的に推していくこととしました。
実は、これって大きな決断です。
既存のお客さんの中には、髪質改善以外のお客さんが多いのに、HPBやインスタ、Googleで髪質改善を全面的に出していくのですから。
「訴求を絞って、お客さん来なかったらどうするの?」
という不安があったことだと思います。
ただ、新しい成果を手に入れたいなら、今、手にあるものをリリースしなければ、新しいものを持つことはできません。
もし、「売上額を前年比20%アップが目標」という程度のなら、新しいものに取り組まず、「現状の努力を頑張りましょう!」と伝えていたかもしれません。
しかし、目標はそこではありません。もっと高いところにあります。
それなら、現在取組んでいる施策の延長ではなく、新しいチャレンジをしなければ大きな結果が手に入りませんよね。
これはオーナーさんの素晴らしい決断だったと思います。
HPBの訴求を変えたこと
髪質改善に特化するということは、店舗でのPRだけではなく、発信するメディアの情報も特化させるということ。
インスタグラムはわかりやすいですよね。投稿を全て髪質改善にしたり、ストーリーズで艶髪を投稿すると、アカウントは特化していきます。
問題はホットペッパービューティー
髪質改善に特化するということは、全ての閲覧者に「このお店は髪質改善の専門店だな」という印象を与えるということ。
そうなると、どうなるか?
高価格メニューが前面に出てきてしまうということ
HPBは、「美容室を探すためのプラットフォーム」として広く認識されています。
利用者の中には、さまざまなニーズがあるものの、その多数は「できるだけリーズナブルに利用したい」という願望を持った状態で閲覧しています。
そのユーザーの初見には、「できるだけ利用しやすい価格帯で注目を集める」というのが広告のセオリーです。
しかし、髪質改善(ストレートやトリートメント)は、どう考えてもカットカラーより高価格。メニューを見れば、価格の妥当性は認識していただけるものの、数字だけで判断されると、アンカリングの法則で、選択肢から除外される確率が上がります。
「悩みに寄り添った特化型」VS「万人の来店を促す大衆型」
この2択について、多くのお店は後者を選ぶのに対し、今回実践したのは特化型。
「市内随一の艶髪専門店」というブランディングを構築しつつ、「誰でも利用できる」より「真に美髪を手に入れたい女性」に絞り込むことで、高価格を利用できる人に訴求したことで、客単価が上昇しました。
実は、この取り組みって、意外と難しいものです。
都会に店舗があり、しかも、HPBに広告費をかけ、プラチナランクで新規をガンガン取るような運用なら別ですが、今回はそうじゃない。
HPB内でのオーガニック流入が基本だと、特化型はとても難しく、勇気がいるものです。
それを実践してくれたのは、僕としてはとても有り難かった。
インスタ広告→HPBの流れを作ったこと
通常、インスタアカウントからのダイレクトな集客を狙うのですが、今回はHPBをかませることにしました。
その理由はいくつかあるのですが、1番の理由は「インスタアカウントが店舗アカウントであること」
インスタ集客を目指すなら「美容師像」を見せないと反応は増えません。店舗アカウントだと「美容師像」を見せることが難しいため、確率が高くないため、ワンクッションとしてHPBを見せることにしました。
さて、「脱ホットペッパー」を推奨する私ですが、そのメディアの魅力は大きいとも思っています。
- 来店意欲が高い見込み客を流入させる経路(SEO&リスティング)
- 圧倒的な知名度
- ポイント
これらの戦略はさすがリクルートと言わざるを得ません。
さて、上記3つの強みですが、見込み客にはどう映っているか?
それは、「安心して申し込めるツール」と認識されているはず.
これがとにかく大きい。
わけのわからないメディアから予約するより、HPBの予約ページから予約する方が安心感がある。
そのため、今回の取り組みでは「HPBの安心感」だけを利用させていただくこととしました。
もちろん、インスタからHPBに流すだけでは予約は増えません。
HPBにはパンくずリストがあり、自店舗だけではなく、近隣のライバル店にも簡単にアクセスできますから、「軽く興味をそそってHPBに送客する」では弱い。
来店意欲が高い見込み客に、来店意欲を掻き立てる広告を見せる必要があります。
これがとても難しい。
当然1回で広告が作れたのではなく、いくつかのテストを行い、今は反応が増えている感じです。
- インスタ上でクリック率が高いこと
- 来店意欲が高いユーザーからの反応があること
- お金をかけずに一定数のクリック数を得ること
難易度高いのですが、何とか結果になったので一安心。
現在の施策はかなり高い確率で来店予約に至っているので、インスタ広告のパワーがハマっているのだと思います。
【重要】カウンセリングで高単価を成約できるようにしたこと
おそらくここが1番重要。
インスタグラム→HPB→来店
この流れができたとしても、普通に広告集客していたのでは、半年で1.4倍の客単価UPは狙えません。
仮に、実現できたとしても、リピート率は下がるはず。
強引な集客ほど、優良顧客(ロイヤルカスタマー)が増えませんからね。
そこで、工夫したのが
「来店したお客様を、カウンセリングでアップセルすること」
1つ目の施策に「悩み訴求に持ち込み、継続来店客を増やすこと」と記載しましたが、この理由はまさにこれに該当します。
悩みが深いお客様が、その悩みを解消するために、どのようなメニューが必要なのかをしっかりと説明する。
これを全スタッフがマニュアル通りに実施。その結果、アップセルができるようになりました。
技術力も大事ですが、正しい提案スキルこそが売り上げを伸ばすという好例。
Googleからの集客も重視したこと
Googleのマップ検索からの流入にも注力。
MEOでベスト10に入っていなかったところを、コツコツと運用していただき、現在2位をキープ。
インターネット検索で美容室を探すユーザーには、マップでの露出強化は効果的ですから、上位表示対策は行うべきですね。
次回予約も重視したこと
少し表現が違うのですが、「次回予約を重視した」というより「初回来店者に、次回も来店していただく理由を理解してもらう」というプロセスを取り入れたイメージです。
次回予約に関して、「顧客目線」で考えると、「次回予約の提案はポジティブではない」
ストレートにいうと、「次回予約提案はされたくない」という人が多いはずです。
その理由は主に、「相手に誘導されている感じがするから」と「自分のペースで利用したいから」。
(僕も、お客さんとして美容室に行った時に提案されたら、やんわりと断ります。)
だから、次回予約に関しては、この2つの顧客心理を理解しつつ、それを上回るメリットを理解させなければいけません。
ここでカウンセリング&トークの出番。
「もう一度来てもらう」ではなく「もう一度来たくなる」を意識させるために、スタッフ全員で頑張っていただいた結果、次回予約率が改善してきました。
顧客から信頼された証拠です。
予約の穴埋めを工夫したこと
人気店を作るには、予約が取りづらいお店を作ることが効果的。
???
予約が取りづらいお店ができた時点で、すでに人気店だし、
今、人気がないのに、予約が取りづらいなんて無理でしょう!
その通り。
予約が取りづらいお店を作るために頑張っているのだから、この法則には無理がある。
わかっています。わかっているのですが、
この鉄則は譲れません。
人気店は、どんどん人気店になるものです。
この流れに乗るために、現在、ある仕掛けをスタートしています。
ある意味強引に人気店を作ろうとしています。
少しずつ、その反応も出てきているはずですが、その爆発力は、あと2〜3ヶ月後かなと推測しています。
ハマると、店舗全体の売り上げが400万近くになるはず。夏頃に達成したい水準です。
売上アップより大事なこと
上記のように、約半年の間に、客単価と集客数が伸び、そのおかげで売上が大幅に伸びました。
ビジネスをしていると、売上アップは嬉しいものの、それ以上に喜ばしいのは、
将来の見通しが立てたこと
今回の施策は、短期的な売上を伸ばすテクニックは1つもありません。
プラットフォームのアルゴリズムをハックするような施策ではなく、全て「顧客目線で設計されたもの」
つまり、再現性があるということです。
再現性があるということは、将来も使えるということですからね。
サポートを受けなくても、自前で運用できるようになりますし、店舗拡大した時にも活用できる施策。
日本各地において、これから人口は減少し、ターゲットユーザーは今より増えることはありません。
一方、ライバル店は今後も増える。フリーランス美容師さんも多い。
そして、収益性が高いメニューを取り入れるお店も増えるでしょう。
この状況で、予想されるのは、
いわゆる専門店ですね。
カット専門店やカラー専門店のように、専門店ができると価格はそれに吊られて下がっていくのがこれまでの常。
この流れに巻き込まれないために、何をすべきか、何を準備すべきかを考えないと、5年後は大変なことになりかねない。
周りの店舗につられて、仮に客単価が20%下がったとしたら、店舗利益も20%下がると思いますか?
そんなことはありません。固定費はそのままで、売上だけ下がるわけですから、実際の利益は30%以上減少することもありえます。
客単価を下げて、売上も下げ、利益はさらに下がる。
そうなると、負のスパイラル。
今から準備できるのは、
「技術思考で考えるのではなく、顧客志向で経営しよう」
ということです。
それが身についてきたら、自ずと店舗の売り上げは伸びていくものです。
まとめ
店舗の売上を伸ばす方法って、
- 顧客を増やすこと
- 客単価をアップさせること
基本的にはこの2つだけです。
だから、多くの方は新規集客に力を入れようとします。
が、
これが大きな落とし穴。
何事もそうですが、
が基本です。
売上UP→新規集客
ではなく、
売上UP→高単価な顧客の集客&継続来店
ここを逆算して考えて施策を講じなければダメ。
現状、売り上げに課題があるなら、その課題を整理するところからまずは始めるのが重要です。
そうすると、半年〜1年後には右肩上がりになっていることでしょう。
店舗の規模も関係なく、出店エリアも関係ない。
現在の課題を正確に把握し、
顧客ターゲットを正しく理解し、
心理訴求と見せ方で市場を攻める。
そうすれば、ライバル店に負けない結果が出る。
それが僕の結論です。
メモ
店舗サポートには、データ分析や市場調査、スタッフとのミーティング、集客代行などを行うため、たくさんの店舗をお受けすることはできませんが、急いで売上を伸ばす必要がある店舗オーナーさんは、インスタDMから個別にご相談ください。