ホットペッパービューティーの掲載費は非公表のようですね。
インターネットで調べてもあまりわかりませんでした。
そこで、この記事では、私の推測で「都心部だと月額50万円程度」ということで話を進めます。
事実と違えばご指摘ください。
ということで、今日のブログの記事は、
広告掲載に毎月50万円(年間600万円)を支払って再来しないお客さんを集めるのは良いの?
という内容です。
個人的な考察と、関わり合いのある店舗から教えていただいた情報をミックスさせ、実態に迫り、分析します。
広告費と売上の理想の関係
美容業界における1人集客あたりの広告費の相場っていくらぐらいだと思いますか?
その実態を調べたのですが、あまり有益な答えはありませんでした。
どれぐらい支払えば、どれぐらいの集客が見込め、どれぐらいのLTVが期待できる
この数字を把握している経営者って、全体の何%ぐらいでしょうか。
実態としては、リクルートの営業さんに、
この地域だと、やはりプラチナプランに入らないと、集客できないですねー。1年間だけやってみて、徐々にランクを下げてみてはどうですか?
とか言われているのでしょうか。わかりませんけど。。。
根拠のない広告戦略ではなく、論理的なマーケティング戦略で広告予算を決定していきたいものです。
そこで、一つの拠り所として、
「総売上に対し、広告費は5%~10%程度におさせること」
という他業界の一般論がありますので、この数字をもとに、50万円の広告費だと、どれぐらいの売上が必要なのかをシミュレーションしてみます。
条件
- 広告費:50万円/月 × 12ヶ月 = 600万円
- 総売上(目標):5000万円(広告費の10倍)
- 新規顧客(仮):100人/月
- 新規顧客の客単価(仮):6000円
- 既存顧客(仮):150人
- 既存顧客の客単価(仮):8000円
- 人件費(2人分:仮):90万円/月 × 12ヶ月 = 1080万円
- その他費用(仮):50万円/月 × 12ヶ月 = 600万円
- 新規顧客の再来率(仮):30%
計算
1. 新規顧客収益
- 新規顧客数:100人/月 × 12ヶ月 = 1200人/年
- 新規顧客の売上:1200人 × 6000円 = 720万円/年
2. 必要なリピーター収益
- 総売上:5000万円
- 必要なリピーター収益 = 総売上 - 新規顧客収益 - 既存顧客収益
3. 既存顧客収益
- 既存顧客数:150人
- 既存顧客の年間来店回数:6回
- 既存顧客の売上:150人 × 8000円 × 6回 = 720万円/年
4. 必要なリピーター収益
- 新規顧客収益:720万円
- 既存顧客収益:720万円
- リピーター収益 = 5000万円 - 720万円(新規顧客収益) - 720万円(既存顧客収益) = 3560万円
5. 必要なリピーター数
- リピーターの年間来店回数を6回と仮定し、リピーターの客単価が8000円の場合:
必要なリピーター数 = 3560万円 ÷ (8000円 × 6回) = 約742人
6. 新規顧客からのリピーター率
- 新規顧客1200人中742人がリピーターになる必要があるため:
必要な再来率 = 742人 ÷ 1200人 = 約61.8%
考察
広告費が総売上の10%となるように設定し、総売上を5000万円にするためには、上記の条件式では「広告効果が低い」という結果に。
総売上の10%の範囲内で広告費を支出するなら、新規顧客の再来率を現在の30%から約61.8%に引き上げる必要があります。
広告サイトを活用し、新規をたくさん獲得ことは大事ですが、それだけではダメなようですね。
来店してくれたお客さんを、リピーターにする。
この考え方が重要というのが、数字上現れました。
リピート率は少なくとも61%のようです。
どうですか?到達できそうですか?
難しい水準でしょうが、無理ではないです。
なぜなら、できている美容院があるからです。
再来店は、「再来店させる!」と考えるのではなく、顧客側が「もう一度行きたい!」と思わせることで解決します。
もちろん、「技術力以外で」です。技術力をPRしても、お客さん側は、「もう一度行きたいかも」とは思いません。
違う視点が大事ですよ。
ホットペッパービューティー経由のお客さんが再来しない理由
ホットペッパービューティーから来店したお客さんは再来率が低い!
本当によく聞きます。
多くの人が言っているのだから、何らかの理由があるようですね。
個人の意見として考察します。
ホットペッパービューティーは、店舗の魅力をPRして来店誘導しているものの、予約段階では「クーポン」を見せ、「お得感」を押し出しています。
お得感は、消費者が意思決定する際に効果的な訴求ですが、これを最後に見せると、「良さそうだから行く」ではなく「お得だから行く」という心理が強まります。
(いわゆる「ピークエンドの法則」)
例えば、9,000円のメニューがあり、初回限定クーポンが7,000円だとすると、消費者は、
通常9,000円のサービスが、初回だけ7,000円なんてお得!行ってみよう!
と感じるものの、サービスを利用した後は、
「このサービスは7,000円の価値である」
と脳が認識してしまいます。
すると、2回目に定価に戻った時はどうなるか。本来の価格という認識ではなく、7,000円→9,000円への
値上げです。
通常、サービス価格が値上げされると、客数は減りますよね。この考えは数学的にも証明できます。
では、どれぐらいの客数が減るのかを考察します。
価格弾力性がわかれば、価格変更後の需要の変化を予測できます。
例:
仮に価格弾力性が-1.5の場合、価格が7,000円から9,000円に値上がりした際の変化率を計算します。
- 価格の変化率:(9,000−7,000)/7,000=2,000/7,000=0.2857
- 需要の変化率:−1.5×0.2857=−0.4286
つまり、需要は約42.86%減少する可能性があります。
値上げによって需要は約半分に落ちます。
一概には言えませんが、初回クーポン利用者が再来する確率は、このように考察することができます。
というのはこのためです。
メモ
効果的なクーポン発行の考察は、公開情報では言えませんので、メルマガで配信します。興味がある方はご登録くださいませ。
消費者のハードルも上がりっぱなし
再来が低い理由はもう一つあります。
それは「ハードル」です。
私もそうなのですが、ホットペッパービューティーを活用し、美容室を探している時の心理、いわゆる「消費者インサイト」とは
- どこかいい美容室はないかな
- この前通っていた美容室の担当さんは○○だったので、それは嫌だな
- 確か、昔の美容室では△△だったので、これも避けたい
- 私は、◻︎◻︎の悩みがあるので、ここを理解してくれる人がいい
- まずは様子見で行って、良さそうなら決めようかな
実際はもっと詳しく、もっとたくさんあると思います。
さて、このような消費者の願望についてですが、消費者は「まずは全てを満たせるお店を探す」という行動をとります。
わがままですよねー。
全てを叶えられるお店なんてほとんどない、むしろ、オンラインの情報だけで探すことは不可能です。
にもかかわらず、「失敗したくない」という願望から、理想のお店(担当)を探すわけです。
そして、この傾向は、「たくさんの美容室に通った経験が多い人ほど顕著」ということです。
たくさんの美容室を見て、体験してきた人は、それぞれの店舗のイメージが残り、「よかったイメージ」「悪かったイメージ」が新しいお店選びの基準になっているのです。
するとどうでしょう。
当然ですが、経験に応じて、ハードルは上がりますよね。
つまり、ホットペッパービューティーをたくさん利用してきた人は、再来しにくいということです。
「値上げによる離脱」
「ハードルを超えない離脱」
この2つが要因となり、ホットペッパービューティーからきた新規の再来は難しいということです。
ではどうするの?
ここが1番大事ですね。
個人的には、上記の反対を実施するのが王道の施策と考えています。
- 新規割引クーポンを取りやめ、他のクーポンを発行する
- 他店と比較させないポイントを作る
この2つを実践することが、HPBkらの新規を再来させるポイントでしょう。
実際、HPBからの来店でも高い再来率を出しているお店はいくつかあります。
工夫すればできます。出来ていないのは戦略的工夫がないだけです。
ぜひ頑張ってください!